親も苦しむことが多かった作文、同じように子供さんも苦しむことが多いこの作文。この上達法を、大学受験の元・小論文全国一位、家庭教師も経験した筆者が解説していきます。
1.日記を書こう!
2.本を読もう!
3.読書感想文を書こう!
4.出来事ごとの作文を書こう!
5.意見をまとめて書こう!~中学入試の作文へ向けて~
今回は、5.意見をまとめて書こう!です。
ここまでの5つのコラムで、作文に当たっての文章の読み方や自分を起点として考えたこと、経験したことについて文章にしていくための話を書いてきました。
このコラムでは、さらに一歩踏み込んで、ある課題を与えられた場合、自分はどう思うか、あるいはある立場にたった場合、課題を受けてどう考えるかを書くための方法を紹介していきます。
1.自分の言いたいことを書いてみよう
5w1hで書くのは日記と同じです。ここで違うのは「なぜ」を掘り下げること。読み手に「なぜ」の説得力を与えるようにしていくことがポイントです。
「なぜ」に説得力を持たせるため、事例をあげたり、課題文で「なぜ」に導かれたポイントを引用したり(そこを要約して書くのもok)しながら書くとよいでしょう。
具体例を以下の項で見ていきましょう。
1-1.お題だけある状態で、自分はどう思うか
例題1-1「タピオカミルクティーはストローが重要かどうか、自分の考えを述べなさい」
回答例1
タピオカミルクティーのストローは、あった方が、紅茶とタピオカをバランスよく飲めるので、重要だと思います。喉ごしが素敵だからです。
…ここで気づいた方、いらっしゃるでしょうか。これ、正解はないので、あくまで回答でしかありません。正直、どっちがいいかはどっちでもいいんです。それを説得力を込めて伝えられればよいので。
では、次の回答では、文章を長めに組み立てつつ、今度は逆の角度で書いてみましょう。
回答例2
タピオカミルクティーのストローはなくてもいいと思う。まとめてつぶつぶがお口に入ってきても、こんにゃくゼリーみたいでいいなあと思います。
ストローで、一気に飲むと、一時事故があった蒟蒻畑のゼリーみたいに喉つまりそうで怖いので、ストローがない方がいいです。
…こちらのように、具体例を実際に出すと、グッと話の説得力がまし、話自体も膨らみます。
字数制限にもよりますが、150字以上書ける場合は、事例を書いた方がよいでしょう。
1-2.課題文を読んで、自分の書きたいことを書いてみよう
ここでは、お題が「言葉」ではなく、「課題文」で示された場合のお話をします。
順序だてて、分かりやすく意見を書くのは同じです。
ひとつ違うのは、課題文を読んで、理解した上で意見を述べることで、読解力が必要となります。
そこで、どのような文章を書けばよいか、「桃太郎」を課題文として、書いていきましょう。
例)1-2 「桃太郎」を読んだ上で、鬼について、あなたの意見を述べなさい。
回答例
鬼ヶ島には荒れていて食べ物がとれるとは思えません。鬼も生きていくためには島以外のところから、色々もらわなくてはいけないと思います。
ただし、宝物を悪さして一杯奪って、鬼ヶ島以外の人を困らせたのはいけないと思います。物をもらうなら、合意のもとで労働の対価などで民からいただくならともかく、強引に奪うのはいただけないと思います。
桃太郎たちが暴力で退治するのは血で血を洗う戦いになるのでいけないと思いますが、鬼たちは罰を受けてしかるべきだとは思います。
…このように意見を書くのは自由なので、その代わり、話の筋を理解した上で、書くことが重要だと思います。
2.決められた立場に立って、意見を書いてみよう
これは先の項よりちょっと高度です。なぜなら自分の意見を出題者の都合に合わせなければいけないので。
意見自体を考えるのも高度ですが、出題者がなぜそう思うか、そう思ってほしいのかということで、相手の気持ちに寄り添うこと・題意を深く理解することが重要です。
「国語みたいだな」と子どもさんには思っていただけたら幸いです。国語の文章読解の力が大いに求められるところなので。
2-1.お題だけで決められた立場に立って、意見を書いてみよう
例)2-1 コンビニのビニール袋が2020年2月より有料化する。反対の意見を根拠を考えて述べよ。
回答例
コンビニの袋を有料化したところで、地球環境がよくなるとは思えない。なぜならそこで得たお金の使い方がよくわからないからだ。お金をもらう理由が決まっているのに、そのお金の使い方が決まっていないのはおかしいと思う。
例えば、旅行のお菓子代として行く人が払ったお金が、いつのまにか集めた人ののおこづかいになっていたら、何のためのお金かよくわからないと思う。
コンビニ袋は使い方がたくさんあるから、買ってでも使う人もたくさんいると思う。
したがって、有料化したところで環境保護のためにビニール袋は減らないし、お金集めたところで地球環境がよくなる気もしないので、コンビニ袋の有料化には反対です。
…今回のポイントは理由を自分の見解に関係なく考えたこと、その根拠を強調するため、事例を出したことです。
コツは、日常的にひとつのことを見たとき、「Aだと思うけど、Bって思う人は何でそう考えたのかしら」とぼんやりでもいいから考えることです。
多面的な視点を持てるようにするのは、文章を書くときに説得力を強めること、コミュニケーション時に相手を思いやる力をつけることなど、このタイプの作文を書く以外にも役立ちます。トライする価値は大いにあると考えております。
2-2.課題文を読んで、決められた立場に立って、意見を書いてみよう
最後は、自分の思いを抑えて、自分なりにロジックを組み立てる能力、複数の視点があった際に自分の視座をどう置くか、かなり高度なチャレンジをして行きましょう。
課題文は、今回も桃太郎にします(文章も短く、知名度も高いため、文章を掲載する必要性が低いので)。
例)2-2 「桃太郎」において、明らかに生活には向いていない鬼ヶ島で暮らしていた鬼は、桃太郎たちに退治された。鬼の立場にたって、その生き方の正当性を述べなさい。
回答例
話のなかで、鬼は、草も生えぬような鬼ヶ島に住んでいた。きっと、鬼ヶ島に住むまでに人間に追われたのだと思う。
そこで困った鬼は、暮らしに困って、山を追われた冬眠前の熊みたいに、前に住んでいた里に出て、生きていくために略奪をしたんだと思う。
そうやって、暮らしていくために里に出てきた鬼を、桃太郎と仲間たちはわざわざ鬼ヶ島までいって退治した。鬼には逃げ場もないのにひどいと思う。
だから、鬼たちは頑張っていたから、村人たちに迷惑かけながらも生きていたのはしょうがないと思う。
…たぶん、この課題は、受験レベルの難しさだと思います(たとえ課題文が平易な「桃太郎」だとしても、文章力だけで)。中学生になっても、気持ちよく国語の勉強ができ、作文も書けるので、余裕があったら挑戦してみてもよいでしょう(公立中など難関校受験者なら、やってください、ですが)。
ポイントは、多角的に普段からものをみること。これは2-1と同じです。課題文つきだと、文の構成は、課題に寄り添う必要があるので、課題文なしより、人によっては簡単かもしれません(国語力がある人には簡単で、国語力がそれほどでもない人には課題文ないより難しいかと)。
終わりに~中学受験、高校受験も考えつつ~
正直、ここまでのことがきちんとできるようになると、中学受験をしないのがもったいないなと思うほどの国語・作文の技術力がつくかと思います。かなり高度です。
中学受験に使わずとも、中学校生活以降のコミニュケーションのスキルとして(学校卒業後も役に立ちます)、高校や大学入試の作文・小論文の技術の基礎にもなってきます。
但し、納得いく文章を書くのはかなり厄介です。嫌にならない程度に見守ってあげてください。親御さんにできるのは、それ以外だと子供さんが作った作品を大切に読むことかと思います(恥ずかしいことかと子どもさんは思うかもしれませんが、好んで読んでくれる相手がいた方が、書くモチベーションが上がりやすい気がします)。
さまざまな作文を楽しく書ける子供さんが一人でも増えますように。
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