小学生に贈る作文講座④~出来事ごとの作文を書こう~

作文

親御さんが小さい頃、産みの苦しみを味わった作文、こどもさんも同じように苦しみがちな作文。大学受験の小論文模試・元全国一位、作文の家庭教師経験もありの筆者が、作文の書き方を紹介します。

1.日記を書こう!
2.本を読もう!
3.読書感想文を書こう!
4.出来事ごとの作文を書こう!
5.意見をまとめて書こう!~中学入試の作文へ向けて~

今回は、4.出来事ごとの作文を書こう!です。

運動会や遠足などの出来事のあとに書く作文の書き方について、解説していきます。

1.書く前にやること


まずは、出来事の記憶を整理することからはじめましょう。

出来事の思い出は、とっ散らかって時系列がデタラメになっていたり、ひとつの大きなエピソードのお陰で、他のことがうすらほんやりしていることが多いです。仕方がないです、人間の頭、そんなにロジカルじゃありませんし。

そこで対策を考えました。それは、思い出した順に気になった出来事を箇条書きにすることです。

今回は、例として、秋の遠足で、大きな公園で栗拾いをしたあと、お弁当を食べて、広場で鬼ごっこや芝生の坂でそりをした、行き帰りはバス、という設定で書いてみます。

例1)


①バスが揺れて車酔いが辛かった
②芝生でそりを使って滑ったのが楽しかった
③栗拾いはイガイガが痛くて大変だった
④唐揚げと卵焼きのお弁当と、おやつが美味しかった
⑤なにもない広場でのドロケイは疲れた
⑥帰りのバスは寝てた

ここで、6つのエピソードが出てきました。次に時系列に並べてみましょう。以下の通りです。

①→③→④→②・⑤→⑥

です。ここまで書けば、どんなことだったか頭の中のことが整理された形で思い出されますね。

完成したところで、次のステップにいきましょう。

2.印象的なことを一つ一つ、日記のように書いてみよう

このステップでは、先ほど思い出した記憶を簡潔に書いてまとめます。当サイトの日記の記事で書いた、5w1hの基本を守りながら書くと分かりやすいです(5w1hが思い出しきれなければ思い出せる限りでいいです)。

事例を見ながら確認していきましょう。前回のステップで思い出した出来事を時系列に並べたあと書いてあります。

例2)


①朝、早起きで眠かったし、バスが山道をうねうね行ったので、バスが揺れて、車酔いが辛かった。

③栗拾いは、くりにイガイガがあるので、痛くて大変だった。栗は好きなので、お母さんが栗ご飯にしてくれたり、お父さんが栗きんとんにしてくれるのが楽しみだ。

④お弁当はおにぎりと唐揚げと卵焼き。特に唐揚げと卵焼きがおいしかった。お弁当を食べたあと、友達ととっかえっこしながら食べたおやつもおいしかった。蒲焼きさん太郎は大好きだ。

②公園の広場には芝生の坂道があって、そりや段ボールを使って、友達と滑った。びゅんびゅんスピードが出て楽しかった。

⑤公園の広場でドロケイをした。なんにもない野原だったので、休めなくって、泥棒も警察もへとへとになった。

⑥たくさん食べていっぱい遊んだら、バスで学校につくまで寝てしまった。今度はバスが揺れていてもよくわからなかった。

ひとつひとつの思い出について、ひとまとまりの文章にして、時系列に並べていけば、完成まではもう少し。

あとは、バラバラの文章をひとつにまとめましょう。

3.出来事全体を振り返ってみよう

出来事全体に対する感想を書くと、ひとつひとつの思い出が一本の線に繋がって、ばらばらの文章がひとつの作文になって成立します。

…と書くと難しそうですが、最初か最後に文章のまとめを書き、それぞれのトピックに「そして」「それから」「そのあと」などの接続詞をつけ(なんと思い出ごとに最初から書いているので、改行を考える手間なし。トピックごとの改行でOK です)を書きます。

そして、最初にまとめを書いていたら、最後にも、最初のまとめを一言書き(全体のテーマが強調されます)、最後にまとめを書きたい場合は、最初に何をしたか・何を書くかを書き、これまでに説明した文章を書いたあと、まとめを書けばOK です。

具体的なまとめですが、以下のような簡潔な文で問題ないです。

例3)


遠足は疲れたし、車酔いとか嫌なこともあったけれども、いっぱい遊べて楽しかった。

終わりに


出来事を振り返っての作文は、書く内容が周囲の人たちと共通している日記のようなものです。

題材が共通なため、文章を構成する力が問われます。

日記に比べ、メイントピックは予め提供されている分、書きやすいところもありますが、問題は、ひとつひとつのトピックを繋げていくのが日記に比べて多いこと。

なので、書きやすい方法は、当記事で書いたように、書きはじめる前に頭の中を整理して、紙に書き出すことです。

最初に手間がかかる分、パッと見遠回りそうですが、書きはじめてからはいちいち頭の中身を整理する必要がないので、最終的には早く書き終わります。

実は、この考え方、国語の長文読解(特に説明文。文章の構成を細分化して見る点では同じなので)の考え方に近いので、国語の勉強にも役立つ部分が多々あります。

こどもさんには早く書き終えられること、親御さんや先生に早く正確に中身を知られて共感されやすいことくらいしか、分かりやすいメリットがありませんが、国語の力もぐっと上がるという副作用もあるので、あたたかく、根気強く応援してあげてください。

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