親も苦しむことが多かった作文、同じように子供さんも苦しむことが多いこの作文。この上達法を、大学受験の元・小論文全国一位、家庭教師も経験した筆者が解説していきます。
1.日記を書こう!
2.本を読もう!
3.読書感想文を書こう!
4.出来事ごとの作文を書こう!
5.意見をまとめて書こう!~中学入試の作文へ向けて~
今回は、3.読書感想文を書こう!の補足記事です。
先の記事で「やり方は書いてあるけれども、実際のイメージがぴんと来ない…」という方も多いかと考えまして、具体的なイメージが用意しました。
ここでは、今回は日本人にはトップクラスに知られた物語・「桃太郎」を使って要約・読書感想文の具体例を見ながら、文章の形を作っていきましょう。
1.5w1hで書こう
当サイトの「日記を書こう!」の記事で重要であると説明した、5w1hで書くという基本は同じです。
例1)桃太郎は怖いはずの鬼を鬼ヶ島へ退治に行けて、しかも退治に成功してすごいなと思いました。
この場合は「鬼が島へ(where)」「退治に成功して(what)」「桃太郎は(who)」「鬼退治に行けて(why)」「すごい(how)」が入っています(時間の流れが速すぎて「5w1h」の「いつ(when)」を入れるがありませんでした…)。
2.要約を入れよう
ここで日記と違う事情が出てきます。そう、読書感想文は「本の中のどこでそう思ったのか」と説明する必要があります。要約です。今度は要約を入れた文章を読んでみましょう。
例2)桃太郎は、桃から生まれた後すくすくと大きくなり、鬼ヶ島へこわい鬼を退治に行き、鬼の退治に成功しました。すごいと思いました。
「桃から生まれた後すくすくと大きくなり」の簡単な要約を足しただけでも、「5w1h」の要素が入っているので、話の内容がある程度見える感想文になりましたね。さすがに桃太郎ほどシンプルにまとまっている物語はなかなかないのでここまではしょった要約にはならないと思いますが、形的にはこんな感じです。
3.複数のエピソードを書こう
でも、字数は少ないですよね…。そこで、今度は別のエピソードを加えてみましょう。5w1h+簡潔な要約、で書くのは同じです。
例3)桃太郎は、桃から生まれた後すくすくと大きくなり、鬼ヶ島へこわい鬼を退治に行き、鬼の退治に成功しました。すごいと思いました。
でも、不思議なことが一つあります。きび団子一つだけで、桃太郎についていって鬼退治を頑張った犬・サル・きじです。怖くなかったのかな、どうしてきび団子一つで頑張れたのかなと思いました。僕はそんなに大変なこと、きび団子一つではできないな、と思いました。
今回は、エピソードが二つ入ったので、ボリュームが一気に倍以上になりました。そして、二つ目のエピソードに一つだけアクセントを加えています。自分なりの見解です。平たく言うと、「自分だったらどうするか」です。これによって文章の厚みはしっかり出てきます。
違うのはお話の気になった要素をピックアップして、要約なり引用なりしながら(読んでいるときに気になっていることはアンダーラインを引くか、付箋をつけておきましょう)、一つ一つ作文にしていくことです。
最初は一番気になった要素をひとつ。つまり、5w1hの「why」をたくさん書くのです。だいたい1要素で300~400字書けたらok(話のエピソード拾うだけで200字になるのでこのくらいの字数にはなります。桃太郎は民話の専門書でもフルで1000字くらいだったりするのでさすがに難しいですが…)。
3~4要素ピックアップして書けるようになったら1200~1600字くらいになります。読書感想文の分量としては、これくらいあれば夏休みの宿題としても大丈夫かと思います。
足りなければ要素をひとつふたつ増やすか、エピソードのピックアップをもっと詳細にするかで、2000字には達するかと思います。
4.お手紙形式で書こう
登場人物にあてた手紙形式で書く、という方法もありますが、これも会話形式にしただけで、基本の書き方は同じです。最後にこちらの事例を紹介しておきます。5w1hの注付きで。
例4)きじさんへ(who)
鬼が島(where)での鬼退治(what)、お疲れさまでした。おにはこわくなかったですか(when)?仲間はきじさんをやっつけたりすることもある、さるさんやいぬさんもいたので、僕だったらとっても怖かったと思います(how)。
そんな中、きびだんご1つで勇敢に戦うきじさんはとってもすてきでした。お団子たった一つのお礼で命がけの戦いに挑んだんですから(why)。
はい、最後まで書いた通り、こちらも5w1hを織り交ぜるという基本技法は同じでした。
最後に
読書感想文も日記もアプローチこそ違えど、読み手に訴えたいことを書くということは同じです。
日記以上に文章の幅が制限されがちなのが難しいとされる読書感想文ですが、だからこそ、自分の文体を当記事のような形で作っておけば、あとは文章の流れに任せてスムーズに書けることを、お子さんに伝えていただければ、と考えております。
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