親も苦しむことが多かった作文、同じように子供さんも苦しむことが多いこの作文。この上達法を、大学受験の元・小論文全国一位、家庭教師も経験した筆者が解説していきます。
1.日記を書こう!
2.本を読もう!
3.読書感想文を書こう!
4.出来事ごとの作文を書こう!
5.意見をまとめて書こう!~中学入試の作文へ向けて~
今回は、2.本を読もう!です。
1w5hがある程度頭のなかにできてきたとしても、課題はどうしても出てきます。絶対的な知識量の増加と、論理展開のパターン、長い話の組み立てのひきだしづくりです。
これに関しては、書くだけでは全くできない…とは言う気がありませんが、読書によるインプットが欠かせません。
そこで、無理なく活字を楽しみ(マンガも含めてますが、マンガも台詞は活字ですし…)、作文力も苦もなく鍛えるための読書案内を用意しました。この順番を踏んでいけば、割とすんなり書籍に馴染めるかと思います。
因みに、この日記→読書のステップを踏むと、同時に国語の読解力と語彙力も身に付くと考えております。作文を書く力と国語の読み解く力は割と連動しているところがありますので。
最初級
書籍に抵抗のある人向けのものをチョイスしました。
ストーリーも明快・挿し絵も読書を楽しむのに親切かつ絵自体もキャッチーです。挿し絵というより、マンガの手法が入っているものがありますが。
読書には文字を読む知識も要りますが、この作品群はハードルが低めです。どちらも漢字にはルビ入り・使っている漢字も少な目な上に、「かいけつゾロリ」シリーズは、カタカナにまでルビふってあるのがありがたいです。
・おしり探偵シリーズ
・かいけつゾロリシリーズ
初級
最初級の作品を読み慣れた(5冊~10冊くらい読めばなれてくると思います)or以前から読んでいた、多少は絵本・マンガに親しんできた人は、ここからスタートしてもよいかもしれません。
最初級になかったマンガをリストにのせていますが、それなりに読解力のいる骨太のお話です。いいんです、話の筋を頭に染み込ませる習慣が身に付くなら、マンガでも活字でも。
どうしても絵の補助なしで文章を自分のものにしてほしい、というご意見もあるかもしれませんが、次のステップがありますから。
・10歳までに読みたい名作シリーズ(学研)
かなり平易な文章で、豊富な絵入りの、スタンダード文学作品集です。ラインナップに少し構えそうですが、軽い感じで読めるようにアレンジされた作品揃いです。漢字もルビ入り。
・大長編ドラえもん(小学館)
まんがですがしっかりストーリーできてます。40年ほど続いた話の重厚さは、物語を読む入り口にぴったり。
・まんが日本の歴史・世界の歴史
まんがですがしっかり筋とおっています(通史だからそりゃそうですが)。色々な会社のものがありますが、人物辞典などの資料集が別売りである、小学舘・学研が特におすすめです。伝記まんがのラインナップが豊富な集英社もあり。
・生き物図鑑シリーズ(高橋社)
漢字もルビあり、生物ネタの入り口にぴったり。大人も楽しめる豆知識ありなので、家族で楽しめるのもよいです。
中級
ここまで到達してきた頃にはある程度こみ入った筋の物語も読めるレベルに達していると思いますので、長めのお話を読んでもらいましょう。ストレスなく読めるように、こちらはルビ入りの作品が揃っています。
ここにあげた作品群を楽しめる頃には、活字や漫画を娯楽として追うことができるようになるかと思います。
魔女の宅急便シリーズ(福音館)
パパママ世代には懐かしいであろう、ジブリ作品の原作です。あのお話、映画になっていない先の部分もたくさんあるんです。映画見たあと、ご家族で一緒に読むのもよろしいかと。
ハリーポッターシリーズ(静山社)
こちらもパパママ世代に映画を楽しんだ方が多いかもしれません。映画より先にヒットした作品なだけあって、文学作品としての完成度は高いです。子供さんが映画見てから読むのもありなので、親子で楽しむハードルは低めです。
講談社青い鳥文庫(講談社)
スタンダードな文学作品を読みやすくアレンジしたものもそれなりに豊富で、日本文学史上屈指の大ベストセラー・「窓際のトットちゃん」もラインナップに入っています。そこそこなれたら、毎月かなりの分量が出ている、オリジナルのジュベナイル小説を読むのもいいかもしれません。ルビ入りなので、漢字はそこそこ出てきますが、読むのはスムーズにできるかと。
角川つばさ文庫(KADOKAWA)
細田守監督作品や最近だとすみっコぐらしなど、アニメ映画のノベライズ版が豊富。オリジナルのジュベナイル小説も多目でエンターテイメント性が豊かです。親御さん世代には宗田理の「ぼくらの」シリーズなどもあり、中級の段階のなかでは、一番キャッチーで取っつきやすいラインナップです。ルビ入りなので、漢字があっても読みやすいです。唯一残念なのは、洋邦の名作群のラインナップが手薄なこと。その辺りは他のレーベルで補完してください。
上級
この辺りのレベルになると、中学生の読書にも堪えうる重厚さがあります(特に岩波の2レーベル)。ルビもふっていませんし。小学生でこのレベルの作品を楽しめれば立派に文学好きレベル・国語好きではないかと思います。1回読んでみて、抵抗を感じたら、中級の作品を数冊読んでみて、それが物足りなくなったら再チャレンジしてみることをおすすめします。
ポプラポケット文庫(ポプラ社)
日本・海外の名作文学のラインナップが充実していますが(難し目の作品は読みやすいようにアレンジが加わっています)、オリジナルのジュベナイル小説もなかなか充実しています。
岩波少年文庫(岩波書店)
洋邦の名作を集めたジュニア小説の中でもやや難し目なラインナップ。もちろん分かりやすいように編集されてはいますが。骨太な作品を読みたくなってきたらおすすめしてみてください。
岩波ジュニア新書(岩波書店)
ジュニアと言いつつ漢字もしっかり難しめ。中学生に向けた学びにぴったり。社会問題や科学的な問題もしっかり取り上げており、作文の力だけでなく、理科・社会の理解ができたり、論理的な思考ができたりと、学びと気付きが一杯です。
最後に
今回は、最初級を除き、敢えて目安を書きませんでした。日記と違いかなり個人差がでるお話ですので。本を読む力は読んだ冊数に単純に比例してつくものでもないのです。時間はかかるので、暖かい目で見まもってあげて下さい。
だいたい一年かけて、最初級からなら中級、初級からなら上級にいければよいかなという目安をあげておきますが、小学校卒業までに上級の作品を楽しめれば、かなり優秀です(中学入試を意識しているならば、小6夏までに上級の作品群を楽しめたら、国語と作文はまずまずの力がついていると思います)。
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