志望校の過去問をうまく活用することで、少し難しい受験でも志望校合格にグッと近づきます。今回は効果的な過去問の活用方法を元学習塾業界出身者の視点でお話ししていきます。
3回に分けてお話しています。
①3通りの方法で志望校合格への近道を!
②志望校レベル別の具体的手順
③スケジュール表・分析シートを使った管理方法(サンプルファイル付き)
過去問を解くメリット
なぜ、過去問を解くのでしょうか。過去問を解くことで何ができるでしょうか。
1、志望校の出題傾向が分かる
たとえ同じ偏差値の学校でも、出題される傾向や問題数、分野の隔たり、科目による難易度の偏りや配転など、学校によりかなり違いがあります。
志望校の傾向を知っておくことにより、どこに力を入れて勉強すべきか、どこは多少手を抜いても大丈夫かなど、メリハリをつけて勉強できるようになります。
限られた時間の中で効率的に志望校合格に近づくことができるのです。
2、自分の実力が分かる
過去問は実際の入試問題そのものなので、志望校の入試で何点くらい取れるという大きな目安となります。
自分の実力を計るための方法としては模試もありますが、用途が異なります。
過去問 | 模試 | |
内容 | その学校の実際の入試問題 | 統一の問題 |
合否基準 | 正解率等と合格最低点を比較 | 偏差値 |
メリット | ・好きな時に何回でも解ける。 ・志望校合格と現状のギャップが具体的にわかる。 |
・最新のデータにより他人との比較ができる。 ・解説が詳しい。(大手模試) |
デメリット | ・本番のような雰囲気を出しづらい。
・解説が少ない。 |
・実施日が決まっている。入試直前はない(大手模試)。
・結果が出るまでに時間がかかる。 |
模試のない時期に過去問を解くなどして使い分けると良いです。
3、本番に近い練習ができる
問題集で分野別に演習しているときは良くできるのに、テスト形式になると途端にできなくなる、ということはよくあります。実際、私もそんな生徒さんを頻繁に見てきました。
入試は分野がわざとバラバラになるようにテストが作られています。また、難易度も問題集のようにこれは基本、これは応用と親切に書かれていることはありません。
また、入試で合格するにはただ問題が解けるというだけではなく、問題を取捨選択したり時間配分をして解いたりする力も求められます。過去問でテスト形式に慣れ、制限時間以内にベストパフォーマンスを出せるよう練習をすると良いでしょう。
過去問を使った勉強が困難な理由
上記のように、過去問を解くことは志望校合格に近づくために最も効果的だと言えます。
しかし、実際に自分で勉強する際には必ずしも効率的な勉強方法ではありません。その理由を述べます。
過去問で分からなかった問題をすぐに解説してもらったり質問することができるような環境がない場合、下記に注意してください。
難易度が高すぎて自力で解けない
まだ実力が十分でない段階で過去問を解こうとすると、全く解けないこともあります。子どもが落ち込んでしまうことも。。。精神面では、たまには崖から突き落とすのも必要なことがあるかもしれませんが、落ち込ませても現実問題、解けないものは解けません。
解説が少ない
解けなくても解き直しが大切!なのですが、残念ながら市販の過去問題集は解説が少ないです。(東京学参よりは声の教育社のほうが若干詳しいです。)ここが、自学で過去問を扱う場合に大きな壁となります。
塾に通っている場合は先生に相談すると良いでしょう。個別指導や家庭教師の場合は事前に先生が予習してくるはずです。(解説の少ない問題への対応は楽ではありません。)家庭のみの場合は、保護者が解説する必要があります。
本番に同じ問題が出るわけではない
「解説がない。でも毎回傾向は似ているから、暗記しちゃえー。」と思って問題や解答を覚えるまでやったとします。考え方としては間違っていないのですが、このやり方で志望校の過去問だけをやり、他の勉強はしない、となると危険です。
似ている問題は出題されても、同じ問題は出題されません。わかりやすい例でいえば、過去に出題された漢字(熟語)はもう出題されそうにないですよね。
- 答えを覚えるのではなく、パターンを覚える
- 傾向を見極め、別の教材(問題集や別の学校の過去問等)で類題を解く。
また、過去問の全ての問題が良問というわけでもなく、難しすぎるものもあります。
- 「捨て問」を見極める。
過去問はいつから解くの?
目的により始めるべき時期は異なります。
1、出題傾向を知るためには。。。
早ければ早いほど良いです。志望校が決まった時点で是非、保護者の方でも一度過去問を見てみましょう。
- 合格最低点は?平均点は?
- 毎回出題されている分野や問題形式は?
- どのくらいの問題数があるのか。
- 一問一問の難易度は高い?
- 科目による難易度の隔たりはあるか
こちらもご参照ください
2、自分の実力を知るためには・・・
受験に必要な全単元が終わった段階で、一回分の過去問を制限時間内で何も見ずに解いて見ましょう。(大手学習塾であれば、小5までには完了していると思われます)模試でもC判定以上が出ていれば、志望校の入試もある程度解けるレベルだと思われます。
過去問を模試のように定期的に解いてみるのもおすすめです。6年生の夏くらいまでは、模試のない時期等に実力試しをしてみると、その時点での目標校との差が分かります。
6年生の秋ぐらいになったら下記3のように過去問を解きこんでいくと思いますが、模試のなくなる直前期の実力だめしのためにも、最新の3回分くらいの過去問は解かずに取っておくことをお勧めします。
こちらもご参照ください
3、テスト形式(混合問題)に慣れるためには・・・
上記のように過去問を自分の実力で合格最低点の80%以上取れていれば、その時点から過去問練習を続けることをおすすめします。自力でできない問題があったも、解説を見て分かるようであればスムーズに対策できるでしょう。
そうでなければ、第一志望校よりレベルを落として、第二志望、第三志望の入試問題でテストに慣れるところから始めると良いと思います。
遅くとも6年生の11月ごろまでには第一志望の過去問演習に入れるようにしたいところです。
私の生徒さんにも、第一志望校の過去問が全く歯が立たない(模試もE判定)場合は、抑えの学校から解いていってもらっていました。抑えの学校で合格点取れたら、第一志望校の過去問に入れるよ!と励まして頑張ってもらいました。
そうすると確実に抑えの学校に合格できるだけでなく、しっかり基礎も固まりスムーズに志望校の過去問に入れます。
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直前期の勉強方法はこちらにも書きました。